理解が先か、暗記が先か

「理解が先か暗記か先か? 」という質問をされることがあります。


勉強しててそんなこと考えるときがあるのかなといつも思いますが・・・。


先に結論。

前にもいったことありますが、どちらでもいいです。

むしろ、どちらかが先だと言い切ってる人は、どうなんだろう。。。

以前、ある資格予備校のパンフで理解が絶対に先だと強調してるところがありました。
思わず笑っちゃいましたが、全然そんなことないです。

理解は後でもいいですし、不要なら理解の必要がないこともあります。
もちろんその判断は、各々によって違います。


先に理解が出来れば後から記憶しやすいし、記憶も呼び戻しやすいでしょう。

逆に先に暗記しておいて、学習が進むにつれて、
「あ〜、そうだったのか」と納得することも少なくないです。

実際に試験に受かった後で、
より深く勉強、経験することで初めて理解まで到達することもあります。


『理解と記憶とは相互に補完しあってるものであって、
どちらが先などと議論すること自体おかしいのです』




ただ、理想は「理解して記憶にも残す」と言うのは明らかです。


大学受験などは暗記が先になることが多い気がします。

一方、資格試験では理解が必要となることが多いので理解を先にと強調することがあります。


私も大学受験で数多くの公式や解法を覚え、実際に問題を解くのに使いましたが、
その中のいくつを理解していただろうかと疑問です。
大学に入って、もっと勉強して初めて
「あの公式はこういう意味があったのか」と気付くこともありました。


いい例があります。

1999年に受験界に激震が走りました。

東京大学の数学の第一問に次のような問題が出ました。
(だいたいこんな感じ・・・)

・一般角θに対して、sinθ、cosθの定義を述べよ。

・その定義に従って、加法定理を説明せよ。


今でこそポピュラーになった公式の導出説明問題ですが、
当時は相当に珍しかったです。

問題のレベルとしては、最低ランクでしょう。
事実、高校一年生の大抵の教科書には答えが載っています。
(完璧な答案を作るにはそれなりの力がいりますが。)

しかし、もっとも基本中の基本の公式の定義、導出なのですが、
実際には東大受験生にそれなりに受験問題として機能したのです。

東大受験生ですら公式を暗記していただけで理解はしていなかったということです。

まぁ、実際公式を使えれば大抵の場合はそれでいいわけで、
その理解まで要求するのは、数学好きでないと結構酷なことだったりします。


何でも理解してからとか言う指導者は要注意です。
逆に、とりあえず分からなくても暗記しておけと言う方がいいです。
そのうち分かるときがくるかもしれませんしね。


ただし、資格試験なんかでは最終的に理解しておかないと、
あんまり意味がないので大抵は勉強を進めていけば理解が進むのが普通です。

資格はツールでしかないこともお忘れなく。

例えば、簿記検定を1級まで取ったとこで専門的な実務がバリバリこなせるかと言うと、
そりゃ無理でしょう。
簿記の難しい問題を解く知識はあっても、実際の経験がないとお話になりません。

実際に簿記をそこまで勉強しても、イメージがわかないはずです。

この問題はこう解く、あの問題はこう解く、という知識は身につきますが、
実践的なイメージは、資格取得だけでは身につかないことも皆さん経験済みのはず。


もちろん、最初はそれでいいんです。

学習を進めたり、経験を積むことで,
そのときの知識とツール(キャリア)としての資格も役に立つはずです。

多くの人が同じ道を通るので心配いりません。


特に学生は、知識のインプットは大量に出来ますが、
重要なアウトプット、実践、実務はなかなか出来ません。
その分、資格取得やキャリア構築に専念して、インプットしていくのも手です。

理解が完全には伴わず、イメージもしづらいかもしれませんが、
気にせずその時期は学習を進めていくべきだと思います。


少し話が飛びましたが・・・・

ことさら理解だ!暗記だ!と強調する人は、他に気にすることがありますから。

またそういう指導者もちょっと頭良すぎるのか学習者の視点になれてないのでしょう。


ということで、勉強してる側は全く気にする必要はありません。


とりあえず、試験の問題を解けるようになるということを考えるべきです。

あとは、人によってその試験を受ける目的が違いますから、
その勉強をしてる時点で理解をしておく必要があるなら誰かに聞くなり、
自分で調べるなりしなくてはならないでしょうし、

そこまで差し迫ってないならその試験に合格した後の学習や実践で理解を深めたり、
本当は理解しなくてもいい分野だったりというのも人によってはあるかもしれません。


最初は理解できなくて当然なので、
「そういうもんなのか」と思って頭の中に残しておくといいでしょう。

学習を始めたときから、
「なぜなんだ?なぜこうなるんだ?」って悩みまくっても効率が悪いです。

「そういうもんなんだ!」と言い聞かせてひとまず学習を進めて、
全範囲終わって再び戻ってきたときに考える必要があるなら考えてください。

その辺の細かさは人によるので、あまり言及はしませんが、深みにはまらないように・・・・。